メーカー純正の回転シート福祉車両でも「移乗できない」現実
〜跳ね上げ式ティップアッププレートで解決した実例〜
自動車メーカーがラインナップしている福祉車両の中には、助手席が回転して乗り降りしやすくなる「回転シート仕様」があります。
カタログや動画を見ると、とても便利そうに見えますし、実際に検討されている方も多いと思います。
しかし、実際に車いすユーザーが使うと、想定外の壁にぶつかるケースがあります。
問題点:シートが「高すぎて」移乗できない
今回のケースもまさにそれでした。

・助手席が回転する
・ドア開口部も広い
・一見すると完璧な福祉仕様
ところが、いざ車いすから移乗しようとすると、
シート座面が高く、体を横移動させることができない
という問題が発生しました。
特に
- 下肢に力が入りにくい
- 腕だけで体重を支えて移る
- 立ち上がり動作ができない
こういった方にとって、数センチの高さの差が致命的になります。
「回転する=移乗しやすい」
これは半分正解で、半分は誤解です。
解決策:跳ね上げ式ティップアッププレートの追加
そこで今回取り付けたのが、跳ね上げ式のティップアッププレートです。
これは、
- 車いす座面と
- 助手席シートの間
その**“空間”を埋めるためのプレート**です。
実際にどう変わったか
取り付け後は、

- 高低差がほぼなくなる
- 体を「持ち上げる」のではなく「滑らせる」動きが可能
- 腕への負担が激減
結果として、一人でも安全に、スムーズに移乗できるようになりました。
「楽に移れる」という表現が、誇張ではなく現実になった瞬間です。
この事例から分かる重要なポイント
このケースが教えてくれるのは、とてもシンプルです。
メーカー純正の福祉車両=すべての人に最適ではない
という事実。
福祉車両で本当に大切なのは
- 装備の有無
- カタログスペック
ではなく、
「その人の身体条件で、実際に動作できるか」
ここです。
回転シートが悪いわけではありません。
ただし、
- シート高さ
- 車いす座面との関係
- 移乗方法
これを無視すると、「福祉仕様なのに使えない車」になってしまいます。
まとめ:福祉車両は「組み合わせ」で完成する
今回のように、
- 純正回転シート
+ - 跳ね上げ式ティップアッププレート
この組み合わせによって、初めて「使える福祉車両」になります。
もし
- 回転シートがあるのに移乗がつらい
- 購入したけど結局使えていない
そんな悩みがある方は、車を替える前に、装備の見直しを検討する価値があります。
福祉車両は「完成品を買うもの」ではなく、
使う人に合わせて仕上げていくものです。
その一歩で、移動の自由度は大きく変わります。
同じ車でも、体の状態や移乗方法によって「使える・使えない」は大きく変わります。
「福祉車両だから大丈夫」と思って選んだのに、
実際には毎回の移乗が大変になることもあります。
その負担、工夫ひとつで軽くできる可能性があります。
まずは現状を教えてください。